【日本の議論】ネット上は匿名?実名? 勝間和代氏vsひろゆき氏の“議論”より
前にもこの「ネット上の実名匿名論争」に触れたエントリを挙げたことがあるが、その際はネット利用者の実名推進は「ネットの利用価値を減らすだけだ」と述べた。今回はリスクとリターンという面から、実名推進など著名人にしか益が少ないということを述べたい。
実名推進派に多い「べき論」から観た場合重要視されるのは「ネット言論空間の安全性」で、「誹謗・中傷・炎上というトラブルを防ぐ」という観点からの意見が多いだろう。ネットで発言してもローリスクであることを求めているのだろう。
だが思うに、実名でネット上発言されている方はどういった方が多いのか?ということを考えると、「実名でなければ意味がない」「実名であるからメリットがある」方達だろう。
例えば・・・勝間和代さんの発言は、「著名人の勝間和代」さんの発言だからこそ価値を持っている。著名な勝間さんと同じことを無名の誰かが発言したとしても同様の反応はない。発言の内容はどうであろうと、あくまでも「著名人の勝間和代」さんの発言に価値を見出そうとしている人が多いのだろう。それによって勝間さんの活動を注目する効果が生じる。結果として勝間さんの著作への注目を集める効果を持つし、収益につながるわけですね。著名人がネットで実名によって発言することには、ハイリターンがあるわけです。
実名というコストに見合う便益が多い人・・・ハイリターンがある方は実名である方がいい。
しかし実名というコストより便益が少ない人(ハイリスク・ローリターン)へは、人が持つ損失回避性向によりネット離れを生じさせることになるだろうと思う。一般の方にとって、「自分がどのように考えているのかを明らかにする」ことで得るメリットは少ないし、人によってはデメリットが多い。何故なら無名で他者から関心を持たれていない人が、例え社会に有益なことを発言したとしても利益につながる機会は少ないのに、「?」と周囲から思われるような発言をした場合には、著名人ほどではなくとも叩かれるわけですから、ハイリスク・ローリターンの状況が生じやすい環境となる。
無名の一般人が、規制やリスクが少ない中で発言できることに価値を見出しているからこそネット利用者は増えたし、利用者が多いからこそネット利用者相手の事業も成り立つ。実名という規制を行うことは、結果として「実名であることがメリット」である人達にとっても、ネット利用者が減ることで便益を減らすことになると思う。ひいてはネットの価値そのものを壊すことになるのではないだろうか?と思う。
実名匿名論争において、実名推進派は現状のハイリスク・ハイリターンをローリスク・ハイリターンな状況へ変えたいということなのだろうと感じるのだが、匿名維持派はローリスク・ローリターンのままで良いということなのだと思う。
もちろん人によっては、「実名にすればローリスク・ハイリターンへの道が一般人にも開かれるのだ」と考えるし、主張する方も居るだろう。だが、自分の発言がハイリターンに結びつくかも・・などと考えてネットで発言する人などそんなに多いのだろうか・・。大勢は考えないだろうし、考えて実名にしたとしてもハイリターンに結びつく方は少ないだろうと思うのだが・・・。更にいえば、実名であることでハイリターンを望む方は、既に実名でネット利用しているのではないだろうか?
やはり・・既に著名であるか、名前を売ることにメリットがある方以外には、実名でネット利用することはハイリスクに繋がる要因の方が多いのではないだろうかと思う。
だから、誹謗中傷を代表とするネット上のトラブルの解消方法としては、実名推進ではなく、情報発信者のトレーサビリティの技術的向上と罰則の強化・利用者のモラル改善によってのほうが望ましいのではないかと思う。
皆さんはどうお考えでしょうか・・・。


by 湯煙の中の一杯
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