根本的な理由が理解されていないことについて・・ ニュース記事に関連したブログ

2009/09/13 06:06

 

 敬愛するブロガーのお一人kinnyさんが以下のエントリの中で、軽薄無知なマスコミの垂れしたデマに、坂本一哉大阪大学教授ともあろうお人ですら毒されていることに怒ってらっしゃる。

坂元一哉さん、もう少しマスコミを疑った方がいい

http://kinny.iza.ne.jp/blog/entry/1220950/

 

 kinnyさんが怒ってらっしゃる部分は、以下のコラムの中の一節です。

【世界のかたち、日本のかたち】大阪大教授・坂元一哉 鳩山氏の不思議な弁明

http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090912/plc0909120350004-n1.htm

 

米国資本主義の行き過ぎた規制緩和・自由競争は現下の世界金融経済危機を生み出した・・」 ← こいつに怒ってらっしゃる。

 

 至極もっともなお怒りだと思う。一般的にこんな妄言が通用しているのは、世界同時金融危機の原因に関しての知識不足によるものだと思うので、ここで整理しておきたい。

 

 世界同時金融危機を生じさせたきっかけは、2007年のアメリカ住宅バブルの崩壊です。では何がアメリカ住宅バブルを生じさせたのかと言えば、サブプライムローン問題です。

 

んじゃぁ~、サブプライムローン問題って何よ?ってことになります。

 

 サブプライムローンとは、Wikipedeiaにも記述されているように、「通常の住宅ローンの審査には通らないような信用度の低い人向けのローン」ですね。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%83%96%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%A0%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%B3

サブプライムローン(米:subprime lending)とは、主にアメリカ合衆国において貸し付けられたローンのうち、サブプライム層(優良顧客(プライム層)ではない。クレジットスコアにより判定)向けでないものをいう。

 報道機関ではしばしば低所得者向けローンとの説明がされ、低所得者に多額の貸し付けを行ったというニュアンスで取り上げられるが、厳密には通常の住宅ローンの審査には通らないような信用度の低い人向けのローンである。信用力の評価基準は所得の多寡のみではない。狭義には、住宅を担保とする住宅ローンに限定され、広義には、自動車担保など住宅以外を担保とするものを含む。一般的に他のローンと比べて債務履行の信頼度が低い。

 このサブプライムローンについてはその担保信用保証が以前から問題になっていたが、米国格付け企業が中古住宅価格の上昇を前提に高い保証を与えて安心感を与えていた。しかし、2007年夏頃から主に住宅ローン(狭義のサブプライムローン)返済の延滞率が上昇しはじめ、とうとう住宅バブルがはじけた。

 このことにより、2008年にはこの証券を組み入れて世界中に販売された金融商品の信用保証までも完全に劣化してしまい、世界中の金融機関で信用収縮の連鎖がおこった。CDSと並び、世界金融危機 (2007-)発生の種をまいた。

 

 ここで「何で信用度の低い人がローンを組めるようになってしまったんだ?」って話がでてきます。

 

 「アメリカの住宅ローンの供給は証券化が前提」なんです。で・・証券化してるのがどこかというと、GSEなんですね。

Government Sponsored Enterprises(政府支援法人)の略。米国特殊法人のこと

狭義にはFannie MaeFreddie Macといった住宅金融公庫や、農業公庫など特殊銀行を指す

 形式的には民間の株式会社であり、その債務にはなんら明示的な政府の保証はないにもかかわらず、「暗黙の政府保証」が期待されて政府と同等の信用力を認められている。

 

 で・・・「何故フレディマックやファニーメイなどが、信用度の低い人にも住宅供給できるようにしたのか?」ということなのですが、ここに政治の問題があるわけです。

 

「1995年からクリントン大統領は持ち家比率を大きく引き上げる政策を立案・実施し、それがサブプライムローンの増加をも伴って、持ち家比率を歴史的高水準へと引き上げた」

再送:根深い米サブプライム問題、ドル地盤沈下が深刻

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-27008820070723?pageNumber=2&virtualBrandChannel=0&sp=true

 

この発言と同様の検証を行っているコラムを以下に載せます

サブプライム問題はなぜ起きたのか

http://www.nagaitosiya.com/a/subprime.html

(このコラムは、私的には大変勉強になった)

 

 上記コラムの中で永井俊哉氏は検証した結果を、以下のように結論付けている。

 市場経済が持つポジティブ・フィードバックのメカニズムが住宅バブルを過熱させたことは事実である。しかし、それを根拠に、サブプライム問題を市場の失敗とみなすことは、問題の根源を見失った判断である。主犯は、政府であり、市場経済は、せいぜい幇助の役割しかしていない。だから、サブプライム問題は、政府の失敗であると結論付けるべきである。

 サブプライム問題は、貧富の格差を是正しようと、政治家たちが社会主義的な経済政策を強行したことで発生した。市場経済を自由放任した結果、経済危機が生じ、貧富の格差が広がったのだから、社会主義的政策による貧富の格差の是正が必要だといった、冒頭で取り上げた通俗的見解が、いかに倒錯しているかが、これでおわかりいただけたかと思う。

 オバマは、引用した演説の中で「今回の危機は、監視がなければ市場は統制を失い、豊かな者ばかりを優遇する国の繁栄が長続きしないことを我々に気づかせた」と言っているから、アフリカ系の血を引く彼が、白人とマイノリティとの格差是正のために市場経済への介入を試みることは大いにありうることだ。しかし、それはこれまでクリントンとブッシュがしてきたことであり、チェンジの名に値する新政策ではない。もしも、オバマがクリントンブッシュと同じことをするならば、同じような失敗をするだろう。 サブプライム問題は、ニューディール政策によって惹き起こされた危機であって、ニューディール政策によって克服されるべき危機ではないのである。

 

 コラムの中で検証されているように、クリントンブッシュと政府が社会主義的経済政策を強行した結果サブプライム問題が生じ、その影響範囲と影響度を大きくしてしまったのは市場経済のメカニズムだということです。ですから根本的な問題は市場経済ではなく、政府の問題なんですね。

 

 坂本一哉大阪大教授ともあろうお人が、そういった事を知ろともせずもせずに、

 

米国資本主義の行き過ぎた規制緩和・自由競争は現下の世界金融経済危機を生み出した・・」

 

と、マスコミの垂れしたデマのままに述べられている。

 

 このことは「日本の知識人としては大変な問題だ」とkinnyさんは怒ってらっしゃるんですね。

 

 大学教授ですらこうなのですから、多くの一般の方々がマスコミのデマにされてしまうのも仕方ないのかも知れません。しかし私達はネットの普及により様々な知識を手に入れる事ができるようになったわけです。自分次第で大学教授クラスの方々の過ちを指摘できる・・・とても面白い時代になったと思いませんか?

 また、様々な知識を手に入れなければ、マスコミの流すデマに惑わされてしまうという現状認識をも強め無ければならないのだろうと思いますね。


 足りない所を補ってくださるエントリを、kinnyさんが挙げて下さったので追加しておきます。kinnyさんありがとうございます。

 

坂元一哉さん、もう少しマスコミを疑った方がいい2

http://kinny.iza.ne.jp/blog/entry/1222500/ 

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2009/09/13 08:23

Commented by 故郷求めて さん

おおお、これは渾身のエントリだ。

サブプライムがキリスト教的慈善主義に基づく社会主義政策であることは、staroさんがだいぶ前に指摘していたと思います。

ていうか、この事実はたしかテレビのワイドショーでも誰かが言ってたぞ。情報の取捨選択を誤らなければ、「市場原理主義」「格差」報道に惑わされることも無いんでしょうね。

特に最近、取捨の「捨」のほうが大事になって来たのかも知れません。

 
 

2009/09/13 09:30

Commented by 湯煙の中の一杯 さん

故郷求めてさん

おはようございます

>おおお、これは渾身のエントリだ。
>
>サブプライムがキリスト教的慈善主義に基づく社会主義政策であることは、staroさんがだいぶ前に指摘していたと思います。
>
>ていうか、この事実はたしかテレビのワイドショーでも誰かが言ってたぞ。情報の取捨選択を誤らなければ、「市場原理主義」「格差」報道に惑わされることも無いんでしょうね。
>
>特に最近、取捨の「捨」のほうが大事になって来たのかも知れません。

 サブプライム問題も、一つ一つ追っていけば、難しい話じゃないのですが、マスコミがした情報が「デマまがいの俗説」に過ぎないのに、そこで判断が止まってしまう。これが様々な問題にも見られると思うのです。かんぽの宿売却問題しかり小泉路線が格差を作った問題などなど・・。

 このような俗説が示すのは、マスコミの無能さのみならず、既得権益側にとって都合の良い情報が「俗説」として信じられているということです。

 既得権益側の弊害を叫びながら既得権益側にとって都合の良い方向へ誘導されている。

 喜劇ですね。

 
 

2009/09/13 13:30

Commented by toto さん

こんにちは。

こちらのエントリを紹介させていただきました。
TBします。よろしくお願いいたします。

大変解りやすいです。

 
 

2009/09/13 13:58

Commented by 湯煙の中の一杯 さん

totoさん

こんにちは~

>こちらのエントリを紹介させていただきました。
>TBします。よろしくお願いいたします。
>
>大変解りやすいです。

 どうもありがとうございます。
 本当はFRBの超低金利政策なども、住宅バブルの原因なのですが、判りにくくなるかと思い、そういったほかのことは排除して、サブプライム問題だけに注目して当エントリを挙げました。

 
 

2009/09/13 19:24

Commented by よもぎねこ さん

 不況など経済問題が起きると、必ず「金持ちが悪い!!!」「商人が儲けすぎ!!」説が出るのは古代からのお決まりです。
 そしてそれを言い出すのは所謂無知無教養の貧しき人々ではなく所謂知識人です。

 これもまたその一つなのですね。

 
 

2009/09/14 00:42

Commented by 湯煙の中の一杯 さん

よもぎねこさん

こんばんは~

> 不況など経済問題が起きると、必ず「金持ちが悪い!!!」「商人が儲けすぎ!!」説が出るのは古代からのお決まりです。
> そしてそれを言い出すのは所謂無知無教養の貧しき人々ではなく所謂知識人です。
>
> これもまたその一つなのですね。

 判りやすく、嫉妬やねたみの対象になりやすい人を攻撃対象にして、問題の本質を隠し、責任回避するもしくは都合よく利用するということでしょうから、おっしゃるようなことになりやすいのでしょうね。

 
 

2009/09/14 01:41

Commented by kinny さん

う~ん、大きく間違ってはいないけど、だいぶ知識が新しいことに集中しているような気がするんで、ちょっと捕捉するよ。

元々は住宅都市開発省というのが民主党のジョンソン大統領から立ち上がっていて、以後一貫してアメリカの住宅供給政策に深く関わってきた。
RAMさんの年代ならかろうじて憶えているかも知れないんだけど、ジョンソン時代にアメリカ初の黒人大使でハリスさんというのが出て騒がれたことがある。カーター時代の彼女の職が住宅都市開発省の長官だった。現在のスタイルには公民権問題で積極的な役割を果たした彼女が深く関与していて、初期のほぼ主犯格に近かったといえるだろう。カーターが熱心なキリスト者だから、キリストがどうのといったハナシになっているのかも知れないんだけど、基本的にはこのハリス女史の経歴からも明らかなように、建前は貧乏人、本音はとくに黒人に家を与えるんだ、政府が面倒を見るんだ、という政策、組織だ。

ところがこの組織、サブプライム焦げ付きで黒人の債務者がダイレクトに関わっているってのに、日本ではほとんど報道されない。
気になってwikiを少し見てみたら

「何も書いてない!」
アメリカ合衆国住宅都市開発省はジョンソンが作った、以上(呆)

気になってサブプライムを調べてみたらその内容に愕然。
「一切、いっさいその出自、前歴について述べていないのだ!」
でアメリカのwikiを見てみたら、焦げ付きを助けてやれと民主党の委員が主張していることなどが普通に(他の項目と同じように)書いてある。

こりゃ情報鎖国だよ、マジで。ワイドショーで本当にちゃんとこの問題の根深さを報じていたとしたら、信じられない手柄だし、それは評価されていいと思う。

というわけで以下、露出しておくね。
http://www.hud.gov/

アメリカでは日本の公団がやっている業務を国家が直接運営しているんだ。
それは「黒人」という一種の政治マターが関わっているから。
キリスト教、というのは二義的三義的なものだね。

まるでアメリカを叩きたいがためにあらゆる情報を都合良くこねあげてあるかのようで、不気味極まりないよ。
なぜ誰も彼もがこうもモノ知らずなのか、小生の言うことがこうもずれていくのか、よくわかった。

日本人は何も知らされていないんだよ。

 
 

2009/09/14 02:05

Commented by 湯煙の中の一杯 さん

kinnyさん

 こんばんは、大変勉強になります。

 私もいろいろ調べていて不思議に思ったのが、サブプライムってなんじゃ?ということの情報が少ないことでした。それでもある程度追えた結果が当エントリの内容です。この程度でもkinnyさんの仰ったことが理解出来たのですが、ご指摘のような情報があれば、更に理解を深められたのだろうと思います。

「日本人は何も知らされていない」

 きっとそうなのでしょうね。
 とするならば、kinnyさんのような方の重要性が増すことと思います。今後も勉強させていただきたいと思いますので、宜しくお願いいたします。

 
 

2009/09/14 16:15

Commented by ctsnetno1 さん

いつだったかニューズウィークに”強欲なのは悪いことじゃない”って書いてたけどやっぱりね。なんか日本のマスコミ変だなあって思ってました。いやあ勉強になった。だいたい日本の何とか大学教授なんてこんなもんです。活字でしか情報ないし、ごく少数の人しか世界の情報かきお集めようとしてないし。学閥に守られ、薄給なのを恨めしく思いながら俺はこんなに優秀なのになんで”アメリカ”の教授みたいに給料もらえないんだ。この国が悪いに決まってる。それはお手本が悪いんだ。そうだアメリカが悪いんだ。まあアメリカに対する歪んだコンプレックス、ざまあみろ的な感覚なんだろうね。これは個人的な意見なんであほかって思う人もいるかもしれないけどアメリカは必ず復活するよ。なぜならあれほど理念がしっかりしている国は世界中にはないからね。後は軍事力。いくら中国が頑張っても追いつけないくらい進んでる。

 
 

2009/09/14 16:45

Commented by 湯煙の中の一杯 さん

ctsnetno1さん

コメントありがとうございます

 私は日本の学会をもっと使うべきだと思います。世の中に晒したところで議論させ、日本の知識人のレベルアップを図らなければならないと思いますし、理屈を構築させ、政治や経済に反映できるものにならねばならないと思います。

 今のところ日本の学会の理屈自体、ガラパゴス化していることで、利用価値の無いものであったり弊害になっている・・・そう思いますね。

 
 

2009/09/14 22:13

Commented by RAM さん

To kinnyさん
>RAMさんの年代ならかろうじて憶えているかも知れないんだけど、

*はいはい、米国大統領なら「アイゼンハゥアー」から知っていますが…
(なんぼも歳は変わらんじゃろに・・・ブツブツ)

 
 
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2009/09/13 13:28

行き過ぎた市場原理主義って何? [平凡な食卓での会話]

 

 いつも勉強させていただいている、  湯煙の中の一杯さんのエントリをご覧ください。  とてもわかりやすいです。   根本的な理由が理解されていないことについて…   http://sei7810.iza.ne.jp/blog/entry/1221…

 

2009/09/14 02:44

坂元一哉さん、もう少しマスコミを疑った方がいい2 [ハレルヤ新聞]

 

ちょっと日本の情報鎖国ぶりがヒドいので、さらに書き足しておくよ。 まず、ほろ酔いさんのところに書いたコメントをコピペするね ############################## Commented by kinn…